無線LAN研究室

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無線LANの規格化

〜無線LANの多彩な規格

IEEE委員会

IEEE とはInstitute of Electrical and Electronics Engineers(米国電気電子学会)の略称で、企業や学術機関に所属する技術者を中心にして構成された協会です。IEEEは様々な電子的な標準規格の作成を行なっており、作成された標準規格はANSI(米国規格協会)を通してISO(国際標準化機構)にも提案され、国際標準として採用されています。

公式ページ

IEEE802.11ワーキンググループ

無線LANの規格の検討や設計はIEEE802.11ワーキンググループが行っています。1987年に、IEEE802.4(Token Bus WG)内で無線化の検討が開始され、1990年になってからは802.3(CSMA/CD)グループ内でも無線化の検討が開始されました。1997年6月、IEEE802.11委員会はLucent TechnologiesとHarris Semiconductorの提案したIEEE STD 802.11-1997無線LAN規格をまとめました。IEEE802.11の第1版は2.4GHz帯の電波を用いており、データ伝送速度が2Mbpsというスペックでした。さらに1999年9月16日、2.4GHz周波数帯を用いたまま11Mbpsの伝送速度を可能にした高速化仕様「IEEE802.11b」、5GHz帯の周波数帯を用いて最大54Mbpsの伝送速度が可能となった「IEEE802.11a」の2つの追加仕様がIEEE で承認され、11月にはIEEE標準仕様として採用されました。2.4GHz周波数帯にはIEEE802.11の他に有力な標準仕様が存在していなかったので、IEEE802.11が事実上無線LANの国際標準となりました。しかしIEEE802.11は標準化以降、しばらくの間実質的にはほとんど機能していませんでした。第1版の仕様がまとまった翌年の1998年から「IEEE802.11準拠」製品の出荷が開始されましたが、ほとんどの製品は他製品との互換性を持っていませんでした。その理由は、IEEE802.11の仕様に完全に沿ったというだけでは相互接続性はほとんど期待できないことにありました。また無線LAN業界に相互接続の意志が確立されていなかったこともあります。草案の検討から正式な仕様の決定までに費やした7年の間に、ベンダーは独自仕様の製品を開発、出荷を始め、当初はかなり高価であったハードウェアコストが最近の開発により現在では大きく低減し、また高速化と広帯域化技術が著しく向上しました。これによって閉鎖的であった無線LAN業界の状況は急速な変化を遂げました。

IEEE 802.11 Working Group

IEEE802.11によって定められた規格

IEEE802.11グループでは発足以降、無線LANによる電波利用・通信はもちろん、衝突検出やセキュリティ・QoSなど幅広い規格化を行っています。これまでに定められた規格とその概要は下記の通りとなっています。
規格名概要
IEEE802.11最初に登場した無線LANの規格。2.4GHz帯とFHSS方式を用いて2Mbpsの速度で通信を行う。
IEEE802.11a5GHz帯を用いて54Mbpsの通信を行う。
IEEE802.11b現在最も普及している規格。2.4GHz帯とDSSS方式を用いて11Mbpsの速度で通信を行う。
IEEE802.11c有線/無線のブリッジを行うための規格。
IEEE802.11dIEEE802.11で使用している2.4GHzや5GHzを利用できない国でも使用できるようにするための追加仕様。
IEEE802.11e無線LANにおいてQoS機能をサポートする拡張MAC規格。
IEEE802.11f異なるベンダーのアクセスポイント間での相互接続性の保証
IEEE802.11gIEEE802.11bを拡張し、互換性を保ちながら54Mbpsによる通信を行う。
IEEE802.11hヨーロッパにおいて5GHz帯による通信を行うための追加機能。
IEEE802.11iMAC層のセキュリティ機能を強化するための規格。

IEEE802.11b

現在最も広く普及している無線LAN機器はIEEE802.11bに準拠した製品であるといえます。IEEE802.11bは、2.4GHzの周波数帯を用いてDSSS方式の802.11の伝送速度を最大11Mbpsに引き上げた上位互換プロトコルです。 また、2.4GHzの周波数帯は、ISMバンド(Industry Science Medical band)とも呼ばれます。これは、産業・科学・医学用の機器に用いられている周波数帯ということで、日本では10mW以下の出力であれば免許不要で利用できるよう開放されていることを指します。 この周波数帯は、無線LANを中心として各種の無線インターネット技術の実用化が進んでいます。IEEE802.11bはその代表例ですが、Bluetooth、HomeRF、一部のFWAシステムなどでも利用されています。免許不要で自由に利用できるのは非常に大きなメリットですが、このように多くの機器が利用しているため電波の干渉が起こりやすいのが欠点であるとも言えます。

IEEE802.11a

IEEE802.11aは5.2GHz帯を使用し、マルチキャリア変調方式の一つであるOFDMを使っています。 IEEE802.11aは5.170GHz、5.190GHz、5.210GHz、5.230GHzと20MHz間隔で4つのチャンネルを配置しています。この4つの周波数を中心に、それぞれ20MHz弱の周波数帯を利用しています。5.2GHz帯は2.4GHz帯とは異なり、屋外での使用ができないという欠点を持ちますが、その反面他の家電や医療機器等との干渉が起こらないという長所もあります。 IEEE802.11bに比べて開発が遅れていましたが、最近製品の発売がはじまり企業を中心としたユーザに普及しています。

IEEE802.11g

IEEE802.11gはOFDMを2.4GHz帯に応用した規格として標準化が行われました。IEEE802.11bと同じ2.4GHz帯を利用しながら54Mbpsの通信速度を実現しています。2.4GHz周波数帯を用いるためIEEE802.11bとの互換性があり、両方の規格を備えた製品も安価に実現できています。現在個人ユーザーに最も利用されている規格であるといえます。
  IEEE802.11b IEEE802.11a IEEE802.11g
使用周波数帯 2400-2497KHz 5150-5250KHz 2400-2484KHz
チャンネル数(日本) 14 4 13
伝送速度 11/5.5/2/1Mbps 54/48/36/24/18/12/9/6Mbps 54/48/36/24/18/12/9/6Mbps
伝送技術 DS-SS OFDM(直交周波数分割多重)方式 OFDM(直交周波数分割多重)方式
アクセス制御 CSMA/CA CSMA/CA CSMA/CA
屋外利用 不可
その他     IEEE802.11bと互換性あり

WECA

 802.11b時代には、無線LANの普及促進と相互接続性の検証を行なうための団体「WECA(Wireless Ethernet Compatibility Alliance)」が設立され、この互換性の確保に大きな貢献を果たしました。WECAでは、ベンダー間の相互接続性を保証するための一定の基準を設け、テストにパスした製品には、「Wi-Fi」のロゴを付与しています。Wi-FiはWireless Fidelityの略称で、Wi-Fi製品同士での相互接続が保証されています。またIEEE802.11aに関しては、「Wi-Fi5」というネーミングが決まっており、同様のプログラムが予定されています。

WECA

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