基礎知識

変調技術:スペクトラム拡散とOFDM

📅 2026/07/13 更新⏱ 読了 約6分

Wi-Fiは、目に見えない電波に「0と1」のデータを乗せて運んでいます。この「乗せ方」を変調と呼びます。無線LANの歴史は、この変調技術の進化の歴史でもあります。少し専門的ですが、順を追えば理解できます。

スペクトラム拡散(SS)とは

無線LANの土台にあるのがスペクトラム拡散という考え方です。信号を、あえて広い帯域に薄く広げて送る技術で、これによりノイズに強くなり、他の電波との干渉を受けにくくなります。初期の無線LANはこの方式で信頼性を確保しました。拡散のやり方には、大きく2種類あります。

FHSS(周波数ホッピング方式)

あらかじめ決めたパターンに沿って、使う周波数を高速で次々と切り替えながら送る方式です。4FSKやBPSKといった変調を使います。周波数の切り替えパターンを知らない第三者には傍受が難しく、干渉にも強いのが特徴です。

DSSS(直接拡散方式)

PNコード(擬似ノイズコード)という特殊な符号を使って信号を広い帯域に拡散する方式です。IEEE802.11b(最大11Mbps)で採用されました。携帯電話のCDMA技術も同じ原理を利用しています。

OFDM(直交周波数分割多重)

高速化の鍵となったのがOFDMです。1本の速い信号を送る代わりに、多数のサブキャリア(細い電波)に分けて並列に送る方式です。それぞれの電波が互いに干渉しないよう「直交」する周波数に配置され、隣の帯域への漏れも抑えられます。

この並列送信により通信は大きく高速化し、IEEE802.11a / g(最大54Mbps)以降の高速化を支えました。以降のWi-Fiはこの方式が主流になります。

💡 ワンポイント

スペクトラム拡散が「電波を広げて丈夫にする」発想なら、OFDMは「電波を細かく分けて速くする」発想。信頼性から速度へ、時代の要求に合わせて主役が移ってきました。

OFDMA — Wi-Fi 6の進化

最新世代では、OFDMをさらに発展させたOFDMAが登場しました。OFDMが「1度に1台へまとめて送る」のに対し、OFDMAは細かく分けた電波を複数の機器に同時に割り当てられるのが違いです。

スマホや家電が何十台もつながる現代の家庭では、この「同時に効率よくさばく力」が効いてきます。Wi-Fi 6が多台数接続に強いと言われるのは、このOFDMAによるものです。

変調技術の進化まとめ

技術主な採用特徴
FHSS / DSSS11b拡散で丈夫に・干渉に強い
OFDM11a / g / n / ac並列送信で高速化
OFDMAWi-Fi 6 以降多台数を同時に効率よく

まとめ