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通信フレーム
〜IEEE802.11のMACフレーム
カプセル化
IEEE802.11のMAC層においても、EthernetやIEEE802.3においてMAC層で行われるのと同様にカプセル化を行います。
ここで上位層から受け取ったデータに対し、まずIEEE802.11 MACヘッダを付加します。このヘッダの長さは最大30バイトです。データ部分は最大2312バイトまで対応しており、データの後にFCS(Frame Chack Sequence)とよばれる、データの整合性をチェックする値が4バイト付加されます。
フレーム構造
IEEE802.3やEthernetなど、多くの有線ネットワークのMAC層におけるカプセル化で付加されるヘッダ構造は、下図のように比較的単純な構造となっており、ヘッダ長は14バイトとなっています。
宛先アドレス | 送信元アドレス | バイト長 |
| 6 | 6 | 2 | [bytes]
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それに対し、IEEE802.11においてMAC層で行われるカプセル化のヘッダの構造は下図のようになっています。
FC | データコントロール | アドレス1 | アドレス2 | アドレス3 | seq | アドレス4 |
| 2 | 2 | 6 | 6 | 6 | 2 | 6 | [bytes]
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さらにIEEE802.11 MAC層ヘッダの先頭2バイト、フレームコントロール(FC)部分のフォーマットは下図のように規定されています。
Protocol Version | Type | SubType | To DS | From DS | More Frag | Retry | Pwr Mgt | More Data | WEP | Rsvd |
| 2 | 2 | 4 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | [bits]
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このように、IEEE802.11のMACヘッダはEthernetのMACヘッダに比べて複雑になっており、そしていくつかの特徴があります。最も特徴的なのは、Ethernetを含む無線LAN以外のネットワークと相互接続を行うためにDSフィールドが用意され、さらにアドレスを格納するフィールドが計4つあることです。DSフィールドによってフレームの送信元および宛先が無線LANなのかそれ以外のネットワークなのかを識別し、アドレスフィールドでは送信元・宛先アドレスの他にアクセスポイントのアドレスなどを格納することによってネットワークを識別します。送信元端末のアドレスをSA、宛先端末のアドレスをDA、送信側アクセスポイントのアドレスをTA、受信側アクセスポイントのアドレスをRAとすると、DSフィールドとアドレスフィールドの組み合わせは下の表のようになります。
接続形態 | ToDS | FromDS | アドレス1 | アドレス2 | アドレス3 | アドレス4
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無線→無線 | 0 | 0 | DA | SA | BSSID
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有線→無線 | 0 | 1 | DA | BSSID | SA
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無線→有線 | 1 | 0 | BSSID | SA | DA
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有線→無線→有線 | 1 | 1 | RA | TA | DA | SA
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無線LANではデータの送受信はもちろん、認証やアクセス方式に関する制御においてもMACフレームを用います。MACフレームの種類は大きく分けて管理用フレーム・制御用フレーム・データフレームの3つとなります。フレームコントロール内に2ビット用意された「Type」フィールドでこれを判断しており、管理用フレームは01、制御用フレームは02、データフレームは10と規定されています。
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